- はじめに
- フィッシング詐欺とは?
- 最新動向と統計(2025年版)
- 【被害事例20選】実際にあったフィッシング詐欺の実例と対策
- ① 日本郵便を装った再配達SMS(68歳女性)
- ② 銀行口座凍結を名乗る詐欺(76歳男性)
- ③ Amazon不正利用警告(71歳男性)
- ④ Microsoftの偽サポート詐欺(79歳夫婦)
- ⑤ 楽天カード本人確認詐欺(67歳女性)
- ⑥ 給付金支給の偽サイト(80歳女性)
- ⑦ LINE認証コード乗っ取り(66歳男性)
- ⑧ iTunesカード詐欺(74歳女性)
- ⑨ 偽アプリによる高額課金(70歳男性)
- ⑩ 投資詐欺:仮想通貨送金(73歳女性)
- ⑪ 郵便局員を装った電話詐欺(72歳女性)
- ⑫ 保険料未納を装うメール詐欺(69歳男性)
- ⑬ 県税の過払い返金を装う詐欺(75歳女性)
- ⑭ 偽の「携帯料金未納」通知(67歳男性)
- ⑮ ネット通販の架空請求(71歳女性)
- ⑯ 偽の携帯キャリアサポート電話(74歳男性)
- ⑰ SNSアカウント乗っ取り詐欺(69歳女性)
- ⑱ 公共料金未納を装う偽メール(72歳男性)
- ⑲ 「マイナンバー更新手続き」詐欺(70歳女性)
- ⑳ 介護サービス契約を装う詐欺電話(76歳男性)
- フィッシング詐欺の見分け方と共通ポイント
- 騙されないための心得7箇条
- 家族や支援者にできること
- 相談窓口一覧
- おわりに|大切な家族を守るために
はじめに
スマホやインターネットの普及により、高齢者をターゲットにしたフィッシング詐欺が急増しています。近年では65歳以上の方の被害が特に増加傾向にあり、その手口も巧妙化しています。
本記事では、高齢者が実際に遭ったフィッシング詐欺の実例を20件紹介し、それぞれの被害を防ぐためのポイントと対策も解説します。フィッシング詐欺の実態を詳しく知り、具体的な被害事例を通して、今すぐ実践できる防止策を学んでいきましょう。ご自身だけでなく、ご家族や支援者の方もぜひ参考にしてください。
フィッシング詐欺とは?
フィッシング詐欺とは、メールやSMS、電話、SNSなどを通じて、利用者を偽のウェブサイトに誘導し、パスワードやクレジットカード番号、口座情報などの個人情報をだまし取る犯罪のことを指します。
名前の由来は、英語の“fishing”(釣り)から来ており、「巧妙に釣り上げる」ようにして情報を盗み取る手口を意味しています。
この詐欺は企業や行政機関を装うことが多く、被害者が「正規の通知だ」と信じ込んでしまうのが特徴です。特に高齢者は、ITリテラシーが低い場合が多く、こうした巧妙な手口に騙されやすい傾向があります。
近年ではスマートフォンの普及やネット利用の拡大に伴い、高齢者を狙ったフィッシング詐欺の被害が増加しています。知らず知らずのうちに個人情報を盗まれたり、多額の金銭被害に遭ったりするケースが後を絶ちません。
最新動向と統計(2025年版)
- 警察庁発表によると、2024年のフィッシング詐欺被害総額は過去最高の182億円。
- そのうち65歳以上の高齢者が関係する被害は約52%を占める。
- 特にスマホを持ち始めた70代〜80代の被害が急増。
- 偽メール・SMSからの誘導が全体の90%以上を占める。
【被害事例20選】実際にあったフィッシング詐欺の実例と対策
① 日本郵便を装った再配達SMS(68歳女性)
被害内容
「不在通知:再配達のご依頼はこちら」と記載されたSMSから偽サイトへ誘導。カード情報を入力した結果、2日後に40万円の不正決済被害が発覚。家族に相談できず、泣き寝入り状態に。
対策ポイント
- メールやSMSのリンクは直接クリックせず、日本郵便の公式サイトやアプリで再配達状況を確認する。
- 不審なSMSは家族や友人に相談する習慣をつける。
- 不正決済があればすぐにカード会社に連絡し、被害拡大を防ぐ。
② 銀行口座凍結を名乗る詐欺(76歳男性)
被害内容
「本人確認が必要」と偽メールが届き、偽の銀行サイトに誘導され口座番号と暗証番号を入力。翌朝、口座から82万円が消えていた。銀行に相談したが、自己入力のため補償対象外と告げられた。
対策ポイント
- 銀行からのメールは公式サイトや電話で真偽を必ず確認。
- 金融機関からの連絡はメールではなく電話連絡が原則。
- 個人情報は絶対にメールやSMSで送信しない。
③ Amazon不正利用警告(71歳男性)
被害内容
「あなたのアカウントで不審な利用がありました」という偽メールが届き、リンク先でログイン情報を入力。結果、クレジットカードでAmazonギフト券10万円分が購入され、第三者に送金された。
対策ポイント
- メールの送信元を確認し、公式Amazonサイトに直接ログインしてアカウントを確認。
- ギフト券の購入は信頼できる本人のみが行う。
- 不審なメールは開かず、削除を心がける。
④ Microsoftの偽サポート詐欺(79歳夫婦)
被害内容
突然パソコン画面に「ウイルス感染」と警告音が鳴り、表示された電話番号に連絡。外国人サポートがリモート操作を行い、パソコン内の個人情報を抜き取り、50万円のクレジットカード請求があった。
対策ポイント
- パソコンに突然出る警告は偽物と認識し、連絡しない。
- 不審な電話には絶対に個人情報や操作権限を与えない。
- 信頼できるITサポートや家族に相談する。
⑤ 楽天カード本人確認詐欺(67歳女性)
被害内容
「不正利用を確認したため本人確認が必要」との偽メールが届き、偽サイトでカード番号やセキュリティコードを入力。3万円ずつ複数回引き落とされ、計12万円の被害。
対策ポイント
- クレジットカード情報は絶対にメールで送らない。
- 請求明細を定期的にチェックし、不審な請求は早期に問い合わせる。
- カード会社の公式アプリを活用して情報管理。
⑥ 給付金支給の偽サイト(80歳女性)
被害内容
「コロナ支援金10万円支給、申請はこちら」という偽の市役所サイトに誘導され、マイナンバーや通帳番号を入力。数日後、口座から18万円が不正に引き出された。
対策ポイント
- 給付金や助成金の案内は必ず自治体の公式ホームページで確認。
- マイナンバーは原則、ネット上で入力しない。
- 不審な申請サイトはすぐに相談窓口に報告。
⑦ LINE認証コード乗っ取り(66歳男性)
被害内容
友人から「誤送信した認証コードを転送してほしい」というメッセージがLINEで届き、コードを送信。結果、アカウントが乗っ取られ、全友人に詐欺メッセージが送られた。
対策ポイント
- 認証コードは本人以外に絶対教えない。
- 怪しいメッセージは電話で本人に確認。
- LINEの二段階認証設定を有効にする。
⑧ iTunesカード詐欺(74歳女性)
被害内容
「友人のスマホが壊れたからiTunesカードを買って」と頼まれ、コンビニで3万円分購入し写真を送信。後に友人のスマホが正常と判明し、詐欺被害とわかった。
対策ポイント
- 金銭やギフトカードの購入依頼は直接本人に会って確認。
- SNSやメッセージでの金銭要求には注意。
- 迷ったら家族や友人に相談。
⑨ 偽アプリによる高額課金(70歳男性)
被害内容
「スマホが重いならこのアプリ」と誘われてダウンロード。知らぬ間に毎月1万円以上の課金が発生。発見が遅れ、被害は6万円に膨らんだ。
対策ポイント
- アプリは公式ストアからのみダウンロード。
- 不明なアプリはインストール前に口コミを確認。
- 定期課金サービスは契約内容をよく確認する。
⑩ 投資詐欺:仮想通貨送金(73歳女性)
被害内容
SNSで知り合った外国人から「安全な仮想通貨投資」と持ちかけられ300万円を送金。連絡が途絶え、回収は極めて困難となった。
対策ポイント
- SNSでの投資話には絶対に乗らない。
- 大金の送金は信頼できる金融機関や専門家に相談。
- 怪しい話は家族や消費者センターに確認。
⑪ 郵便局員を装った電話詐欺(72歳女性)
被害内容
「荷物の受け取りには本人確認が必要」と電話があり、個人情報やキャッシュカードの暗証番号を教えた。数日後、口座から50万円が不正引き出しされた。
対策ポイント
- 郵便局や宅配業者からの電話は必ず公式番号で折り返し確認。
- 個人情報は電話で教えない。
- 怪しい電話はすぐ家族に相談。
⑫ 保険料未納を装うメール詐欺(69歳男性)
被害内容
「保険料未納のため口座が凍結されます」というメールから偽サイトに誘導され、カード情報を入力。30万円が引き落とされた。
対策ポイント
- 保険関連の連絡は書面か公式電話で確認。
- 急を要する連絡は慎重に判断。
- 不明なメールは削除。
⑬ 県税の過払い返金を装う詐欺(75歳女性)
被害内容
「県税の過払い金があるため返金申請してください」というSMSから偽サイトへ誘導。口座番号を入力し、その後に不正引き出しが発生。
対策ポイント
- 税金に関する案内は県の公式サイトで確認。
- SMSにあるリンクはクリックしない。
- 迷ったら税務署に直接問い合わせ。
⑭ 偽の「携帯料金未納」通知(67歳男性)
被害内容
「携帯料金未納のためサービス停止」とのSMSが届き、偽サイトでクレジットカード情報を入力。10万円以上の不正利用があった。
対策ポイント
- 携帯料金の支払い状況は公式アプリで確認。
- 不審なメール・SMSは無視。
- 不正請求はすぐに携帯会社に連絡。
⑮ ネット通販の架空請求(71歳女性)
被害内容
心当たりのない通販サイトから「未払い料金があります」とメールが届き、偽サイトで決済情報を入力。15万円の被害。
対策ポイント
- 注文した記憶のない請求は無視する。
- 不明なサイトの請求には応じない。
- クレジットカードの利用明細を定期的にチェック。
⑯ 偽の携帯キャリアサポート電話(74歳男性)
被害内容
「携帯の利用状況に問題があります」と電話があり、本人確認としてカード情報を聞かれ被害。20万円が不正引き落とし。
対策ポイント
- キャリアからの連絡は公式番号からのみ。
- 電話でカード情報を伝えない。
- 怪しい連絡はすぐ家族に報告。
⑰ SNSアカウント乗っ取り詐欺(69歳女性)
被害内容
SNSのログイン情報を盗まれ、なりすましで友人に金銭を要求するメッセージを送信。被害総額は約25万円。
対策ポイント
- SNSの二段階認証を必ず有効に。
- パスワードは定期的に変更。
- 不審なメッセージは無視・通報。
⑱ 公共料金未納を装う偽メール(72歳男性)
被害内容
電気料金未納を装った偽メールから偽サイトに誘導され、口座情報を入力。50万円の不正引き落とし。
対策ポイント
- 公共料金の支払い状況は公式サイトや請求書で確認。
- 急ぎの支払い要求には注意。
- 不明なメールは無視。
⑲ 「マイナンバー更新手続き」詐欺(70歳女性)
被害内容
「マイナンバー更新手続きが必要」とのメールに偽サイトリンクがあり、個人情報を入力。後日、複数の不正利用が判明。
対策ポイント
- マイナンバーはオンラインでの更新は基本不要。
- 官公庁からの連絡は書面が基本。
- 怪しい連絡は役所に確認。
⑳ 介護サービス契約を装う詐欺電話(76歳男性)
被害内容
介護サービスの契約確認と称して電話があり、個人情報を聞き出され、後日不正請求が発覚。被害額は35万円。
対策ポイント
- 介護関連の連絡は公式機関に直接確認。
- 電話で個人情報を伝えない。
- 家族や支援者と連絡内容を共有。
フィッシング詐欺の見分け方と共通ポイント
- 「至急対応してください」「本人確認が必要です」など不安をあおる言葉
→ 急かされると冷静さを失い、確認せずに行動してしまいがちです。詐欺師はこの心理を利用して焦らせ、情報を入力させようとします。 - URLが長く不自然
→ 本物の企業のURLは短くシンプルですが、偽サイトは見慣れないドメインや長いURLを使って正規サイトに見せかけています。URLをよく確認しましょう。 - 実在の企業ロゴや名前を使うが、微妙に違う
→ 見た目が似ているため一見して騙されやすいですが、よく見ると文字の違いやロゴのズレがあることがあります。細部まで注意して確認が必要です。 - 日本語の表現がやや不自然
→ 自動翻訳や海外の詐欺グループが作成するため、文法や言い回しが不自然なことが多いです。違和感を感じたら要注意です。ただし、最近は適切な日本語で書かれているサイトもあるので、日本語文が問題ないからといって安全なサイトとは限りません。 - メールの差出人が実際の企業と違う
→ 差出人のメールアドレスやドメインが公式のものと異なっている場合は詐欺の可能性が高いです。公式サイトで正しい連絡先を確認しましょう。また、不審なメールアドレスをGoogleなどで検索すれば、公式サイトで注意喚起の記事に対象のメールアドレスが掲載されていたり、口コミなどに書き込まれていたりするので、怪しいと思ったら検索してみましょう。
騙されないための心得7箇条
- メールやSMSに記載されたリンクは絶対にクリックしない
→ 本物そっくりの偽サイトへ誘導され、そこで情報を入力すると一瞬で個人情報が盗まれます。特に急かすような文面には注意しましょう。 - 公式アプリ・公式サイトからアクセスする
→ 直接ブラウザで公式サイトのURLを入力するか、信頼できるアプリからアクセスすれば偽サイトに引っかかるリスクを大幅に減らせます。 - IDやパスワードは電話・メールで絶対に教えない
→ 企業や銀行は電話やメールでパスワードを聞くことは絶対にありません。教えると詐欺師に情報を渡すことになります。 - 「警告音」や「サポート電話」は無視してOK
→ 急にパソコンやスマホがウイルス感染を警告しても、それは詐欺の可能性大。慌てて電話してしまうと、遠隔操作で操作され被害に遭います。 - アプリを入れる前に口コミやレビューを確認
→ 不審なアプリは高額課金や情報抜き取りのリスクが高いです。評価が低かったりレビューが怪しい場合は避けましょう。 - 少額でも不審な請求があったらすぐに調べる
→ 詐欺は最初は小さな金額から始めて徐々に大きくすることが多いので、早期発見が被害拡大防止に重要です。 - 不安なときは家族や専門窓口に相談する
→ 一人で悩まずに、信頼できる家族や警察、消費者センターなどに相談すると冷静に対応できます。被害を未然に防ぐ力になります。
家族や支援者にできること
- 普段から「詐欺かも?」という意識を共有しておく
→ 高齢者は被害にあっても恥ずかしさや気まずさから相談しにくいことがあります。普段から「怪しいものには気をつけよう」と話しておくことで、被害の早期発見・防止につながります。 - 高齢の親のスマホ設定(アプリ制限・迷惑メールフィルタ)を確認
→ フィッシング詐欺の多くはメールやSMSのリンクを通じて発生します。迷惑メールを減らしたり、不審なアプリを入れられないよう設定することでリスクを下げられます。 - 口座明細やクレジットカード利用を定期的に一緒にチェック
→ 不正利用に気づくのが早ければ被害拡大を防げます。定期的に家族が一緒に確認する習慣をつけることが重要です。 - 新しいサイトで買い物する際は一緒に確認
→ ネット通販や新規サイトはフィッシングや詐欺の温床になりやすいです。特に高齢者が慣れない場合は、家族が同行して安全性をチェックしましょう。 - 定期的に「最近こんなメール来た?」と声かけ
→ 高齢者は怪しいメールを見ても気づかず放置することが多いです。家族から声をかけることで、疑わしいメールの発見や早期相談を促せます。
相談窓口一覧
窓口名 | 内容 | 電話番号 |
---|---|---|
警察相談専用電話(#9110) | 緊急でない相談 | 地域ごとに接続 |
消費者ホットライン(188) | 詐欺・悪質商法 | 最寄りの消費生活センターにつながる |
フィッシング対策協議会 | 偽サイト報告・注意喚起 | 公式HPより受付 |
銀行・カード会社 | 不正利用停止 | 利用先に直接連絡 |
おわりに|大切な家族を守るために
フィッシング詐欺は誰にでも起こりうる身近な犯罪です。特に高齢者は、親切心や信頼感を狙われやすく、被害が拡大しやすい傾向があります。この記事を参考に、まずはご自身とご家族の安全を守るための第一歩を踏み出しましょう。
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