「終活」という言葉、聞いたことはあるけれど、実際に何から始めればいいのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。終活は、人生の最終段階に向けての活動のことですが、それを始めることで、今の生活をより安心して、心地よく過ごすことができます。今回は、終活を具体的にどう進めるか、すぐに実践できる準備方法を紹介します。
1. 自分の意思をはっきりと伝える
終活の基本は「自分の意志を伝える」ことです。自分がどういう最期を迎えたいのか、どんな治療を受けたいのか、どのような葬儀を望んでいるのかを家族に伝えることが、後々の混乱を防ぎます。
具体的な準備方法:
- 「終末期医療に関する意思表示」
もし自分が意思疎通できなくなった場合に、どのような医療を受けたいのかを書面で残しておくことが重要です。例えば、「延命治療は希望しない」「痛みを和らげる治療を優先する」などの希望を、家族に伝えておくことができます。これは「リビングウィル」や「尊厳死宣言書」として残すことができます。
- 健康管理の希望を記録する
介護や病院での対応について希望があれば、それも書面で残しておきましょう。例えば、「自宅での介護を希望」など、自分の希望に沿った形でケアを受けられるように準備しておくことが大切です。
2. 遺言書の作成と財産整理
終活の中でも最も重要なのは、財産の整理と遺言書の作成です。これにより、万が一のときに家族に迷惑をかけず、意図通りに資産を分配できます。
具体的な準備方法:
- 遺言書の作成
遺言書は、法的に効力を持つ形で作成することが大切です。遺言書を作成するには、専門家(弁護士や司法書士)に相談するのも一つの方法です。自分の財産や希望する分配方法を明確に記載しておきましょう。例えば、「家族全員に平等に分ける」「特定の人に特定の物を遺す」など。
- 財産リストの作成
現金、預貯金、不動産、保険など、所有している資産のリストを作成し、整理しておきましょう。これを家族に伝えることで、相続手続きがスムーズに進みます。自分の死後に大切なものをどうしてほしいか、具体的に書き留めておくと安心です。
3. お葬式やお墓の準備
お葬式やお墓のことは、普段はなかなか話しづらいテーマですが、事前に準備をしておくことで、残された家族の負担を軽減できます。
具体的な準備方法:
- 葬儀の希望を伝える
「家族葬にしたい」「直葬を希望」「火葬後に散骨を希望」など、葬儀の形式について事前に考えておきましょう。また、どの葬儀社にお願いしたいか、どんな式場を希望するかも考えておくと、家族が動きやすくなります。
- お墓のことも話しておく
お墓の場所や管理についても、事前に決めておくと良いでしょう。家族が「お墓はどうする?」と迷うことを防げます。自分がどんなお墓を希望するのか、または「お墓を持たない選択肢」もあります。
- 生前葬の選択肢も
生前に自分の葬儀を執り行う生前葬も一つの選択肢です。自分の希望通りに葬儀を行えるだけでなく、参加者と生前にお別れの時間を持つことができます。
4. 日常の整理と保管場所の確保
財産整理と同様に、日常的な物の整理も重要です。特に大切な書類や、普段使わない物の整理をしておくことで、家族が必要なときに困ることを防げます。
具体的な準備方法:
- 重要書類を整理する
銀行口座や保険の証書、契約書、年金関連の書類など、家族に伝えるべき重要書類を一か所にまとめておきましょう。もし、オンラインバンキングなどを利用している場合は、IDやパスワードも伝えることを考えましょう。
- 貴重品の管理
貴重品(通帳、印鑑、宝石など)や、思い出の品(写真アルバムや手紙など)を整理し、必要なときにすぐに家族が確認できる場所に保管しておきます。
- デジタル情報の整理
スマートフォン、パソコン、クラウドのデータも整理しましょう。例えば、SNSアカウントの管理方法、パスワードの記録などを残しておくと、万が一のときにも家族が困らないで済みます。
5. 思い出の整理と伝えたいことを残す
終活の一環として、自分の思い出を整理し、家族に伝えたいメッセージを残すことも大切です。自分の人生の振り返りを通して、家族や大切な人に伝えたい思いを形にしましょう。
具体的な準備方法:
- メッセージを書く
手紙や日記、録音、ビデオメッセージなど、自分の思いを残す方法は色々です。「ありがとう」「ごめんなさい」「愛している」など、大切な言葉を伝えることは、後悔を防ぐためにも重要です。
- 写真やアルバムを整理する
自分の人生の写真やアルバムを整理し、家族や友人に伝えたいエピソードを記録しておくと、より深い意味を持つ遺産となります。
まとめ
終活は、ただの準備ではなく、今を大切にし、将来に向けて心の整理をすることです。自分の意志を整理し、必要な手続きを進め、家族に負担をかけないようにすることで、安心して人生を過ごすことができます。終活は、誰もができることから始められますので、少しずつ実践して、心穏やかに過ごしていきましょう。