「親を安心して預けられる施設を探したい」「できるだけ良い環境の施設に入居したい」と思い、インターネットで情報を集める方は多いでしょう。特に、介護施設紹介サイトは、複数の施設を比較できる便利なツールです。しかし、これらのサイトには思わぬ落とし穴が潜んでいます。
「ランキング1位の施設に入居したら、実態は劣悪だった」「親切な無料相談を利用したら、しつこい営業電話が止まらない」「口コミを信じたら、悪い評判が意図的に隠されていた」――これは、実際に起きた事例のほんの一部です。
介護施設選びは、一度間違えると入居者本人やその家族にとって大きな負担となります。本記事では、介護施設紹介サイトの危険性について具体的な事例を交えながら詳しく解説し、安心して施設を選ぶためのポイントを紹介します。
そもそも介護施設紹介サイトって?
介護施設紹介サイトは、全国の介護施設の情報を集約し、利用者(家族や本人)が条件に合った施設を探せるようにするサービスです。基本的な仕組みは施設の情報掲載、相談・マッチングサービス、施設との連絡仲介、契約・入居サポートなどです。そんな便利なものをなぜ無料で利用できるのか・・。
実は、介護施設紹介サイトの多くは、施設側から紹介料(成功報酬)を受け取ることで運営されています。一般的な仕組みは以下の通りです。
- 無料で利用できる理由
利用者(入居希望者や家族)からは基本的に料金を取らず、施設側が紹介料を支払う形をとる。 - 紹介料の相場
施設によって異なるが、入居者の月額利用料の数カ月分(例:1~3カ月分)を紹介料として支払うことが一般的。 - 偏った情報提供のリスク
紹介サイトの運営会社が提携している施設しか掲載されていない場合があり、必ずしもすべての選択肢が提示されるわけではない。 - 施設側の負担が入居者に影響する可能性
施設が紹介料を負担するため、そのコストが入居者の利用料金に影響を与えている可能性もある。
偏った情報の可能性
事例①:「ランキング1位の施設に入居したが…」
Aさんは介護施設紹介サイトで「地域No.1」と評価されていた施設を選びました。しかし、実際には職員の入れ替わりが激しく、介護の質も不安定でした。後で調べると、この施設はサイトの運営会社に多額の広告料を支払っており、ランキングが操作されていたことが判明しました。
事例②:「特定の施設しか紹介されない」
Bさんは複数の施設を比較するつもりで紹介サイトを利用しましたが、問い合わせた瞬間に「この施設が最適です」と1つの施設しか勧められませんでした。後に調べると、そのサイトは特定の施設と提携しており、他の選択肢はほとんど紹介していなかったことが分かりました。
【注意点】
- ランキングやおすすめ情報が広告費によって操作されている可能性がある。
- 施設の実際の評判と異なることがある。
【対策】
- ランキングだけで決めず、複数の情報源を確認する。
- 自治体や独立した第三者機関の評価も参考にする。
施設の実態と異なる情報
事例③:「豪華な設備のはずが…」
Cさんは、サイトで見た「最新設備のある高級施設」に魅力を感じ、入居を決めました。しかし、実際に行ってみると、写真は開業当初のもので、現在は老朽化しており、メンテナンスも不十分でした。
事例④:「職員の対応が違う…」
Dさんの家族は、サイトの「スタッフは親切で対応が丁寧」という紹介文を見て入居を決めました。しかし、実際の施設では職員の態度が悪く、入居者への対応も雑でした。後で分かったのは、紹介サイトに掲載されていたのは数年前の情報で、現在の職員体制とは異なっていたということでした。
【注意点】
- 掲載されている写真や情報が古く、実態と異なることがある。
- 「最新設備」「高級」といった宣伝文句が誇張されていることがある。
【対策】
- 必ず見学をする。(設備の状態や職員の対応を確認)
- 現地で他の入居者や家族の意見を聞く。
悪質なブローカーの存在
事例⑤:「しつこい勧誘と不適切な施設紹介」
Eさんは介護施設を探すためにある紹介サイトに問い合わせました。すると、すぐに電話がかかってきて「早く決めないと空きがなくなる」と強く勧誘されました。見学した施設は設備が劣悪でスタッフの対応も悪かったため断りましたが、その後も次々に施設を紹介され、執拗に連絡が来るようになりました。
事例⑥:「とにかく高額な施設を勧められる」
Fさんは予算内で探したいと伝えましたが、紹介されたのはどれも高額な施設ばかりでした。後で知ったのは、紹介業者が手数料の高い施設を優先的に紹介していたということでした。
【注意点】
- 手数料目的で強引に施設を紹介する業者がいる。
- 利用者の希望を無視し、不適切な施設を勧められることがある。
【対策】
- 「急がないと入れなくなる」などの言葉に惑わされない。
- 信頼できる相談窓口(ケアマネージャー、地域包括支援センター)を活用する。
プライバシーの問題
事例⑦:「個人情報が流出?」
Gさんは無料相談のために紹介サイトに個人情報を登録しました。その後、登録した覚えのない介護施設やリフォーム会社などから営業の電話が頻繁にかかってくるようになり、個人情報が流出したのではないかと不安になりました。
【注意点】
- 一部の紹介サイトは、利用者の個人情報を施設や関連業者に売却していることがある。
- 登録後に営業電話が増えることがある。
【対策】
- プライバシーポリシーをしっかり確認し、不要な個人情報を入力しない。
- フリーメールアドレスを使用するなど、個人情報の管理を工夫する。
口コミの信頼性
事例⑧:「悪い口コミが消された?」
Hさんは、ある介護施設について調べるために紹介サイトの口コミを参考にしました。そこには「スタッフが親切」「清潔で快適」といった良い評価ばかりが並んでいました。しかし、実際に入居してみると、スタッフの対応が悪く、利用者の扱いも雑でした。後日、他の掲示板で調べると「悪い口コミを書いても削除される」との情報がありました。
【注意点】
- 紹介サイトの口コミは、施設側が管理している場合があり、悪い評価が削除されることがある。
- 良い口コミが業者によって操作されている可能性がある。
【対策】
- 紹介サイトだけでなく、他の情報源(Googleレビュー、SNS、自治体の評判)も確認する。
- 実際の利用者やその家族に直接話を聞く機会を持つ。
安全に介護施設を探すためのポイント
危険性 | 対策 |
---|---|
ランキングが操作されている | 複数の情報源を活用 |
施設情報が実際と異なる | 現地見学を徹底 |
強引な勧誘 | 契約を急かす業者は避ける |
個人情報の流出 | 登録時の情報管理を徹底 |
口コミの操作 | 他のレビューも確認 |