今の日本は「超高齢化社会」です。さらに、高齢者の割合は年々増加の一途を辿っているうえ、核家族化が進んで高齢者の1人暮らしも増加しています。高齢者のみが地方に住み、親族は高齢者と離れて生活しているケースも多数です。
核家族化に伴い、自ら独居を選択する高齢者も多く存在します。緊急事態時の発見が遅れたり災害時に支援者がいなかったりと、1人暮らしには以下のように多くのリスクが付きまといます。
■「身体機能の低下による病気や怪我のリスク」
■「認知症の進行による徘徊などのリスク」
■「社会的孤立による孤独死のリスク」
■「高齢者の一人暮らしや高齢世帯を狙った空き巣や強盗被害のリスク」
■「判断力の低下による詐欺や押し売りなどの犯罪に巻き込まれるリスク」
■「災害発生時のリスク」
高齢者の見守り・安否確認方法の種類
高齢者向けの見守りや安否確認の方法には、いくつかの種類があります。
例えば、市町村独自のサービスで「安否確認や緊急時の対応」を行うものもあります。電話回線を利用した緊急通報装置を設置し、毎週定期的に電話で安否確認を行うだけでなく、緊急ボタンを押せばコールセンターにつながり相談できるものや、必要に応じて協力員を訪問させ安否確認を行ったりします。サービス内容、利用できる条件などは市町村によって異なるので、詳しくはお住まいの市役所などにご相談ください。
今回この記事では、高齢者を見守るために利用できる便利な安否確認システムを5種類ご紹介させて頂きます。安否確認システムの種類を知り、高齢者のおかれている状況に適した安否確認システムを利用しましょう。
センサー型:プライバシーに配慮しながらも、人の動きを感知してお知らせ
センサー型は、人の動きを感知して通知する安否確認システムです。不在が続いている、長時間動かないなどのトラブルの予兆に対応できます。カメラのように写真や映像を撮影せずに済み、プライバシーを保ちながらの見守りが可能です。ただ、動きの感知のみでは詳細な状況が分からず、緊急時の対応が困難です。また、設置して使うシステムで、外出時のトラブルには対応が難しいといえます。そのためほかの安否確認システムと併用することを検討してもよいでしょう。
モーションセンサー: 高齢者の家にモーションセンサーを設置し、異常があればアラートを発信するシステム。寝室やトイレ、玄関などの特定の場所にセンサーを配置することで、生活状況を確認できます。
床センサー: 高齢者が転倒した際に、床やマット型センサーが感知し、アラームを発するシステムです。
温度センサー: 高齢者の室内温度を監視し、異常な温度(例えば寒すぎる、暑すぎる)を感知した際にアラートが送られる仕組みです。
カメラ型:遠隔操作や会話も可能でリアルタイムに状況を確認
カメラ型は、カメラを屋内に設置して利用者の状況を見守る安否確認システムです。カメラを通じていつでも様子を確認できます。カメラ型の安否確認システムには、簡単な会話が可能なものもあります。カメラ型であれば写真や映像で状況が分かり、緊急時にも速やかに対応できます。動体検知機能や暗視機能(ナイトビジョン)搭載のものもあります。
注意点としては、プライバシーが守られにくい点には配慮が必要です。高齢者が監視されているような不快感を抱くおそれがあり、理解を得たうえでの利用をおすすめします。
見守りに使えるカメラの代表的な種類としては以下の物があります。
1. ネットワークカメラ(IPカメラ)
- 特徴: インターネットを介して、スマートフォンやパソコンで遠隔監視ができるカメラ。Wi-Fi接続が必要で、クラウドサービスや専用アプリを使用して映像をチェックできます。
- 例: RingやNest Camなどのスマートホームカメラ。
2. パン・チルトカメラ(PTZカメラ)
- 特徴: 上下左右にカメラの向きを変えることができ、広範囲をカバーできます。リアルタイムでカメラの角度を調整できるため、複数の部屋を監視する際に便利です。
- 利用シーン: 自宅内で複数の部屋を監視したい場合。
3. ドアベル型カメラ
- 特徴: ドアベルに組み込まれたカメラで、訪問者の確認に加えて、室内の様子を確認できる機能がついているものもあります。外部の訪問者や、玄関周辺を監視するのに適しています。
- 例: Ring Video DoorbellやNest Hello。
4. 防犯カメラ(屋外用カメラ)
- 特徴: 屋外用カメラは、外出時や自宅周辺の安全を見守るために使われます。防水・防塵仕様で、屋外でも使用可能です。
- 利用シーン: 高齢者が外出している際や、家の周囲を監視したいときに便利です。
5. センサー付きカメラ
- 特徴: モーションセンサーや温度センサーと連携し、異常を検知した場合に通知が届くシステムです。例えば、高齢者が床に倒れている場合や異常な動きがあった際に通知が送信されます。
訪問型:サービス利用日に訪問して直接安否確認
訪問型は、お弁当を配達する配食会社や郵便局のスタッフが訪問して、安否を確認できるシステムです。人の目で直接安否を確認できる点がメリットといえます。
高齢者の利用が多い配送サービスには、安否確認がサービスに含まれているケースが多数あります。また、電気・ガス・水道などの会社が安否確認サービスを提供している場合もあります。そのほか、介護や食事の知識を有するスタッフが定期的に訪問して安否確認ができるサービスもあります。
アプリ型:外出時も状況を確認することが可能
アプリ型は、スマートフォンのアプリを利用して安否が確認できるシステムです。見守りカメラと専用のアプリ(スマホアプリ)を連携させることで、外出先からでもリアルタイムで映像をチェックできます。これにより、家族やケアスタッフが遠隔地からでも高齢者の安全を確認でき、必要に応じてサポートを提供することができます。利用するアプリによって幅広い機能があります。動体検知や音声検知異常検知などの便利な機能を有するものもあり、スマートフォンに通知が届きます。多くは、1人でも日常生活を送れる元気な高齢者向けの機能です。
高齢者によってはスマートフォンを使いこなすことが困難なため、システムの有効な利用が難しいケースもあるでしょう。スマートフォンを使いこなせる高齢者におすすめの安否確認システムであるといえます。
家電型:対応する家電が少ないのがネック
家電型は、炊飯器・洗濯機・エアコンなど、家電製品の使用状況を通して利用者の安否を確認できるシステムです。家電を使用すると、使用したことが家族に通知されます。
家電型を採用する際には、毎日欠かさず使用する家電を選択するとよいでしょう。日常生活で使う頻度が高い家電に設置しておくと、異変を感知できる可能性が高まります。時期によって使用しない家電製品もあるため、複数の家電製品で安否確認システムを利用することもおすすめです。